特集 / 米農家インタビュー映像
豪雪地で生きてきた先人たち。自然との関わりのなかで伝えらえ、積み上げられていった彼らの知恵と伝統を大切にし、今もこの地域で米をつくりながら生活を営む方々に敬意を払い、北川フラムがインタビューする動画シリーズをスタート。農業を軸にした雪国生活の実相を学ぶ。
ディレクター:フジノケン(株式会社N37) / 撮影・編集:森山久夫
02 November 2021
十日町市でももっとも古いと言われる赤倉集落に生まれ育ち、専業農家として米づくりをする庭野信一さん。除草剤やドローン散布など手を抜けるところは抜きつつ、楽しみながら米作りをしてきたという彼は、「自然相手なので苦しいと思ったら続かない。”大地とあそぶ” んだよ」と笑顔で話してくれた。山菜採りやウサギ追い、アート作品づくりとその後にみんなで飲むお酒--。生活の中にある”あそび”を大事にしてきた彼と北川フラムの対談。
プロフィール
庭野信一
十日町市の赤倉集落で生まれ育ち、現在、米の専業農家として、標高450~500mほどある田んぼを約2ha(収穫量9600kg)を耕作中。過去に、大地の芸術祭の赤倉での作品制作にもご協力いただく。
日本一雪が深い津南町の秘境・秋山郷にある結東集落。そこに広がる美しい石垣田で米づくりをしながら、冬は狩猟生活を送ってきた瀧澤満直さん。「石垣田」は、狭い田んぼで面積を最大限に利用するために、あぜを直角に削り、石垣で固定した棚田のこと。石垣田を維持する工夫だけでなく狩猟にまつわるエピソードなど、普段なかなか知ることのできない貴重な話に耳を傾ける。
プロフィール
瀧澤満直
津南町結東集落生まれ。中学卒業後、東京で工場勤務やトラック運転手などを経て結東集落に戻り、農業と兼業で従事。現在は専業農家として、6反(17枚、収穫3000kg程)の石垣田を耕作。
第3弾は特別編。秋山郷の農業だけでなく、ここに根付く貴重なマタギ文化に焦点をあてる。江戸~明治にかけて、秋田からの二人の「旅マタギ」が骨格をつくった秋山郷のマタギ文化。その始まりである大赤沢集落で、長年マタギとして狩猟生活を送ってきた3名にお話を伺った。
撮影後にもさまざまなエピソードを聞くことができた。「熊は肉も内臓も毛皮も骨も血も、収入や栄養、薬になり、あますところがなく使えるが、殺生禁止の仏教の教えから四つ足の動物や生臭いものを食べない人が多く、狩猟生活や肉食文化になじむには時間がかかった。」「昔は新潟では狩猟をする人を”殺生人”と呼んだが、次第に東北からきた”マタギ”という言葉が定着した。」など、彼らが生まれる前のお話も。これらはマタギ文化を伝えるほんの一部。より興味を搔き立てられる時間となった。
プロフィール
(左から)石沢隆、藤ノ木宣重、藤ノ木幸博
日本
秋山郷の大赤沢集落でマタギとして狩猟生活を営んできた方々。藤ノ木宣重さんはリーダー的存在でマタギ文化の継承に尽力されている。藤ノ木幸博さんは宣重さんさんと長年狩猟を行い、現在は引退しているが豊富な経験をもつ。石沢隆さんは銃は持たなくなった今も狩猟に同行してくださる。大赤沢で山に泊まり込みで狩猟をしていた最後の世代。