新潟から世界を捉え、21世紀の美術を考える
大地の芸術祭公式WEBマガジン

特集 / ディレクターズコラム

大地の芸術祭あれこれ⑨(執筆8/31)

北川フラム(『美術は大地から』編集長 / 「大地の芸術祭」総合ディレクター)

4月29日から145日間にわたる「越後妻有 大地の芸術祭 2022」が開幕。それにあわせて、今回の新作や見どころや”あれこれ”を、総合ディレクター・北川フラムが綴る新連載「大地の芸術祭あれこれ」がスタート。

文:北川フラム

01 September 2022

8月も終わりになった28日(日)、29日(月)と、それぞれ岡淳さんの〈農具は楽器だ〉の講演、ランドアーキテクト・高野文彰さんの追悼の回のツアーに参加しました。前者は秋山郷・大赤沢の山深い世界と作品、後者は越後妻有の土地の自然を理解するという考えでのツアーでしたが、皆さん納得し、楽しんでおられたようで嬉しいです。

高野文彰さんや高野ランドスケープの皆さんとの城山での整備作業の様子

山本浩二「フロギストン」@大赤沢分校

松尾高弘「Light book – 北越雪譜-」@大赤沢分校

岡さんのコンサートは全4公演あり、10日前には前売が20枚捌けているぐらいで、心配していましたが、幕を開けてみれば4公演ともほぼ満席で、しかも進行するにつれて観衆が盛り上がっていくのが体感されるのです。企画者でもあり、サックス・フルート奏者の岡さんをはじめとして、ベースの古木佳祐さん、パーカッションの岡部祥一さん、植松透さん、山本祐介さんとともに、タイプは違っていてもそれぞれが一流のミュージシャンで、曲の把握、会場の雰囲気に対応する力ともに見事なもので、パフォーマンスが少しずつパワーアップしていくのが実感できました。津南中等教育学校理科部の高校生が演奏した唐箕によるハープシコード風の音色もやわらかく、そのアメイジング・グレイスは圧巻でした。一流のアーティストと土地や場所やそこで生活する人たちがあって初めて、素晴らしい時間が共有できることを、多くの人が体感できたように思います。

岡淳+音楽水車プロジェクト「農具は楽器だ!」photo Nakamura Osamu

岡淳+音楽水車プロジェクト「農具は楽器だ!」photo Nakamura Osamu

この2日(金)夜6時からMonETで山岡信貴さんの〈アートなんかいらない〉の映画が上映されます。この映画を私は楽しみにしています。山岡さんは〈大地の芸術祭〉のアーティストのインタビューシリーズの撮影・編集をやっていただいている方ですが、本職は映画監督で、越後妻有等の縄文土器にはまり、その観点から現代美術をどう考えていくのかという興味深い映画をつくられました。監督挨拶つきの特別上映会になります。〈大地の芸術祭〉の作品と作家を見て何を考えたか? 興味があります。その現代美術のど真中、MonETでの上映会にぜひいらしてください。
≫上映会の詳細・ご予約はこちら

 

北川フラム

山岡信貴監督最新映画『アートなんかいらない!』

つながる

最新ニュースやイベント情報、越後妻有の四季の様子、公式メディア「美術は大地から」の更新情報などを大地の芸術祭公式SNSアカウントで発信しています。