運営 / 越後妻有の舞台裏から
16 May 2020
まつだい「農舞台」ギャラリーでの企画展は、秋に引き続き今冬もD&DEPARTMENT監修で、豪雪地まつだいの越冬保存食をテーマにした「まつだい棚田バンク 棚田のお米のまわり・冬」展を開催しました。昨年の12月に「うちには何もないわよ」と取材先の各集落の皆さんから言われながら、キュレーターの相馬夕輝さん(D&DEPARTMENTディレクター)らと訪ねた「まつだい棚田バンク」に関わる7つの集落。行く先々で、「これは?」という保存された食材を発見し、そのまま借用して展示を構成。今まで当たり前に続けられてきた、春先の山菜からたくさん採れて食べきれなかった夏野菜や晩秋にかけて収穫した食材の保存方法を、「雪下」「穴」「家の中」「乾燥」「塩蔵」「味噌」「酒」の7つの保存方法に分類し展示。
「まつだい棚田バンク 棚田のお米のまわり・冬」展
越後妻有では食材を山で採り畑に種を植え育て収穫し、さまざまな方法で保存。その後、下ごしらえして調理、食卓へ並ぶまでの行程をほぼ一人や家族の手で行われていました。どれもこの土地の風土や、雪や湿度の暮らし方ならでは。3月に予定していた集落へ実際の保存食を訪ねる体験は、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため実施できなかったのですが、「家全体がまるでその環境を上手く生かしきった食材保存の宝物箱のよう」とキュレーターが表現した展示と会場で配布した取材記録紙でも、その一端を感じ取っていただきました。
また里山食堂の土日ビュッフェランチやスイーツメニューにも、ズイキ、たくあん、雪下人参など、保存食を取り入れたメニューに小さなフラッグを掲示して、平日の定食でも味噌汁を「ズイキの粕汁」をご用意。来訪者に実際に保存食を召し上がっていただきました。
「ズイキの粕汁」が付いた平日の定食
「カラフル根菜サラダ 赤玉ねぎの蜂蜜柚子マリネ カッテージチーズとミント」
里山食堂では、夏・秋に引き続き、米澤文雄シェフに冬のあったかメニュー「妻有ポークとハーブのミートボール オレンジ風味のトマトスープ仕立て」と、地味になりがちな冬の保存食メニューをアレンジした「カラフル根菜サラダ 赤玉ねぎの蜂蜜柚子マリネ カッテージチーズとミント」の、2種のメニューを監修いただきました。
2月初旬には、里山食堂オープン時から関わっていただいている、松代の山菜採り名人である菅刈集落の柳はつえさんのお宅をシェフと一緒に訪ね、冬の暮らしや保存食についてお話しをしました。練炭のコタツや秋から保存していたという糖度が増した甘―いみかん、床板を外して出てきた保存野菜などについて、実際に実物を見せていただいたり食べたり。春には山菜採りをしようと話して。(この山菜採りはコロナウィルス感染拡大の影響で実施できなくなってしまったのですが、またぜひ次回とお話ししています。)
また、3月からビュッフェスタイルをお休みし、ランチを土日も平日同様個食提供していた里山食堂では、米澤シェフが昨年奴奈川キャンパスの「TSUMARI KITCHEN」で春に提供した「妻有ポークのロコモコ ふきのとうバターライス」を4月からスタート。4月13日(月)~の休業までの間2週間でしたが、販売しました。
「妻有ポークのロコモコ ふきのとうバターライス」
ふきのとうは、2年前から毎年「TSUMARI KITCHEN」の室野地区のお母さんたちと冷凍保存作業を行っています。今年は小雪だったため、例年4月半ば以降に実施していたフキノトウの仕込み作業を、今年は3月後半に実施。今年はお母さんたちが摘んでくれたふきのとう16キロを仕込み、冷凍で24キロ程度出来上がりました。もう3年目なので、お母さんたちも作業の手際がよく午前中で終了。昨年の夏は、里山食堂のビュッフェメニュー「ふきのとうとトマトのカレー」などでも活用。今年も活用していきたいと考えています。
また冬期は、アフタヌーンティーセットを予約制で2~4月の各月2日間開催しました。カフェタイムもぜひご利用いただきたいという気持ちで、昨年夏から食堂のショーケースにいつも季節のケーキを数種類並べられるように、スタッフでレパートリーを増やしてきました。
アフタヌーンティーは、冬期間雪が多くあまり遠方に出かけられないからこその企画でした。今年は雪が少なく、日によってはたくさんのお客様にご予約いただき、3段スタンドで里山食堂の手作りスイーツとドリンクをお楽しみいただきました。2月はビュッフェスタイルだったものを、3.4月は各テーブルでご提供するなど工夫しながらの実施。ランチ後の午後のカフェタイムをお楽しみいただくメニューとして、今後も企画していきたいです。
食チームリーダー・まつだい「農舞台」担当 飛田晶子
(NPO法人越後妻有里山協働機構)