新潟から世界を捉え、21世紀の美術を考える
大地の芸術祭公式WEBマガジン

運営 / 越後妻有の舞台裏から

進化する越後まつだい里山食堂 越後妻有の食の可能性を求めて

28 December 2019

米澤文雄シェフに越後妻有に関わっていただいてもうすぐ4年。

2015年秋に奴奈川キャンパスでディナー、2016年春に黎の家で2daysディナー、秋の三省ハウスでARTCAMPディナー、2017年には三省ハウスでの里山映画館でもディナーを行い、毎回大盛況。

普段食べている地元の食材が、シェフの手により全く違う料理として盛り付けられ、初めて一緒に料理する地元のお母さんたちとの笑顔のキッチンに驚きばかりの時間でした。

昨年の大地の芸術祭2018では、ツアー限定レストランとして、奴奈川キャンパスの「TSUMARI KITCHEN」を監修いただきました。越後妻有の食材保存の知恵と四季の食材が詰まったコースメニューは、会期中5,900名を超えるお客様に提供されました。

TSUMARI KITCHENで提供されたツアー限定のコースメニュー Photo by Ayumi Yanagi

その後も米澤シェフには、越後妻有の食施設についてアドバイスをいただいてきました。今年からは、「越後まつだい里山食堂」の顧問として関わっていただいています。

まず取り組んだのがビュッフェメニューのブラッシュアップです。

これまで、地元のお母さんたちが「こんなものしかないけれど」と言って出してくれる家の食卓の惣菜が本当に美味しかった、と米澤シェフ。里山食堂でお客様が食べたいものは何なのか、今一度考えてみようということで、これまでのメニューを考え直しました。

定番メニューの「妻有ポークしゃぶしゃぶ炒り米サラダ」や「夏野菜揚げびたし」などに加え、米澤シェフ監修のスパイシーな「ふきのとうとトマトのカレー」、色美しく糸瓜をデザート感覚で食べられる「糸瓜とグレープフルーツのサラダ」など新メニューが多数登場。8月からは、TSUMARI KITCHENで50日間腕をふるった塩田済シェフも駆けつけ、今夏の新メニューはほぼ毎日更新されているくらいでした。

定番メニューだったじゃがいもやカボチャのグラタンは、お米を使って豆乳を加えた〝お米のベシャメルソース“に、素揚げした旬の夏野菜とトマトソース、チーズを加えて。間引き人参はフムス、人参の葉は「夏野菜のジェノベーゼ」に。これまでお出ししたことのないような「地野菜のタパス」「地野菜のラタトゥイユ」「夕顔とオクラの煮こごり」「プラムとセロリの自家製カッテージチーズサラダ」「インゲンのハニーマスタード和え」「スイカのカプレーゼ」。スイーツでは「茄子のパンナコッタ」「南瓜のパンケーキ」・・・。

収穫の時期が集中して調理に頭を使う夏野菜消費メニューが、次々に新しいメニューとしてカウンターに並び、農舞台館内には朝から、いい匂いが漂っていました。

秋には、米澤シェフの1dayディナーを開催。シェフが熟成肉を焼き始めると、今までに嗅いだことのない美味しい匂いに包まれ、私たちスタッフも感激しました。ディナーが始まるまでは毎回緊張ですが、シェフのエネルギーで創られる場の雰囲気に魅せられた時間でした。

Photo by Ayumi Yanagi

Photo by Ayumi Yanagi

里山食堂もそろそろ冬支度。ズイキや大根を干したり、野沢菜を漬けたり。地元のお母さんたちに助けていただきながら忙しい時期でした。 12月からランチビュッフェにはチーズフォンデュが登場。冬はゆっくり、あったかカフェメニューも。米澤シェフの冬のビュッフェメニューは1月から提供予定です。

大きなガラス窓から雪景色の棚田を望む、冬の越後まつだい里山食堂へ、ぜひお越しください。

食チームリーダー・まつだい「農舞台」担当 飛田晶子
(NPO法人越後妻有里山協働機構)

PROFILE

米澤文雄

1980年東京都出身。都内の飲食店勤務後、2002 年に単身でNYへ渡り、毎年三ツ星を獲り続ける高級フレンチ「Jean-Georges」本店で日本人初のスー・シェフになる。帰国後は国内の名店で総料理長を務め、2014年から「Jean-Georges Tokyo」シェフ・ド・キュイジーヌに。2018年9月~「THE BURN」料理長就任。

編集
ART FRONT GALLERY
アソビュー!
CINRA
つながる

最新ニュースやイベント情報、越後妻有の四季の様子、公式メディア「美術は大地から」の更新情報などを大地の芸術祭公式SNSアカウントで発信しています。