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ここにしかない里山の新しい風景を。城山フィールドミュージアム

07 December 2019

農舞台裏にそびえる「まつだい城山」(じょうやま)にて、城山フィールドミュージアムプロジェクトの一環として、高野ランドスケーププランニング(以下TLP)とのワークショップが行われました。

まつだい城山は、芸術祭初期からの名作が多数点在するだけでなく、里山に咲く植物や昆虫、小動物や鳥を観察することができる場所。芸術祭・総合ディレクターの北川フラムは、地元の野の師父・松山金一さんと城山を巡る「モリアオガエルクラブ」を月に1回実施し、季節ごとの植生や生き物を観察したり、この地域の歴史をひもといたりと、越後妻有の原点とも言える活動を大切にしています。

この越後妻有の象徴のような場所であり、世界的アーティストが手掛けた作品が点在する城山に、新たな魅力を生み出し、ここにしかない里山の新しい風景を作り出そうと、2016年に始まったのが城山フィールドミュージアムプロジェクトです。アートが点在するなかに有機栽培の田畑をつくったり、森の中に沿道を整備したり、旧来の植生を大切にしたりとプロジェクトが進むなかで、デザイン・森・参加型をキーワードにプロジェクトを展開するTLPに協力を依頼することとなりました。

度々行われてきたTLPとのワークショップ。今回は、芸術祭スタッフやサポーターも参加しての森林整備と森ヨガ(!)。

ここは、暗くて人が踏み入れなくなった杉林の間伐や枝落としを昨年行った場所。光がより差し込む空間にし、「瞑想の森」という広場や森林内園路をつくりました。

豪雪地帯特有の根曲がり杉。雪の重みや、雪解けのときに引っ張られ根本が曲がる。越後妻有の古民家の梁はほとんどが根曲がり杉を使っている。

今回のワークショップでは、昨年手掛けた杉林内の整備をメインに活動。芸術祭スタッフとTLPスタッフで園路の草刈りや枝払いを行い、歩きやすくなるよう整備。

翌日は、林業やランドスケープを専攻する学生、松代エリアで活躍する地元ボランティアの案山子隊、芸術祭スタッフ、TLPスタッフで、カタクリの群生地と「瞑想の森」の草刈りと杉っ葉拾い、枝払い。作業終了後には、きれいになった「瞑想の森」にて参加者全員でヨガ体験!
とても清々しい気持ちに。

さらにもう1日使って、「瞑想の森」から続く道もつくり、カタクリ群生地→「瞑想の森」→元の道路へと周遊できるようになりました。夕方の意見交換会では、ドイツやインドの日本の森との相違点や、参加者と城山の未来について意見交換を実施。勉強させていただくとともに、城山を多くの人に見てもらえるような魅力づくりへの気持ちが強まりました。

モリアオガエルクラブにて。野の師父・松山金一さんのガイド。

最終日は、松代にある熊越山(ブナ林)に行き、モリアオガエルクラブと一緒に活動。杉林とブナ林の違いを感じたり、師父の松山金一さんから松代の歴史や植物を学んだり、高野さん(TLP代表)からは好きな木や葉を探してみるという体験もさせていただき、充実した楽しい時間に。

今回のワークショップでは、参加者や案山子隊から、城山に対する考えや可能性などさまざまな意見を聞くことができました。学生からも「もっと関わりたい」「友達にも紹介したい」「また来たい」と言っていただき、嬉しい気持ちでいっぱいです。

来春にはカタクリが一面に咲くので、
ぜひ城山に足を運んで、自然に癒されに来てください。

 

FC越後妻有、城山担当 大平理恵
(NPO法人越後妻有里山協働機構)

PROFILE

高野ランドスケーププランニング

1975年に東京でスタート、バブル期の1990 年に会社を北海道に移転。「デザインと創造性」「参加型公園づくり」「森とエコロジー」の3つを得意分野とし、それらの3つがお互いに刺激しい、ダイナミックにプロジェクトを展開。人と環境の豊かな未来をランドスケープの視点から創造する。マレーシア、フランス、台湾など海外でも活躍し、近年は中東、サモアなどでも展開。
≫公式サイト

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