『大地の芸術祭』という日本のエポックメイキングな芸術祭の場で、音楽家・小林武史による他に類を見ない公演が実現する。この『円奏の彼方(Beyond The Circle)』はオリジナルのオーケストラ編成と個性豊かなシンガーたちとともに作られる新たな音楽世界だ。小林武史が新たに書き下ろした8楽章からなるこの交響組曲は、日本の音楽に偉大なる足跡を残した作曲家・柴田南雄の交響曲『ゆく河の流れは絶えずして』をベースにしたもの。
小林武史は語る。
「柴田南雄さんの作品をあらためて観て、ある種の” 触媒” のようなあり方を感じたんです。柴田南雄という人にはインスピレーションを表現する天才的な表現者の部分もあるのですが、日本/欧米、日本/アジアなどを世界を相対化して考えた音楽の研究者という” 知” の側面があった。『ゆく河の~』という彼の作品はそんな彼の音楽を通した” 旅” であったと思うんです。鴨長明をはじめとした先人たちが辿った” 知の旅” ですね」
昭和50 年を記念した柴田の『ゆく河の~』は事実、彼の20 世紀の中央に位置する日本の音楽家の音楽体験の回顧を試みるものとして作られたといわれ、そのタイトルどおり曲中で合唱されるテキストは 鴨長明の随筆『方丈記』をベースにしている。そして『方丈記』は誰もが知るとおり12 世紀末の天変地異など不安に満ちた日本の世相をリアルに描いたものだ。
「僕らの時代はいよいよAI が登場するまでになって、でも一方では東日本大震災のように自然の前ではまだ無力であることを思い知らされたりもする。そんな” 無常” という大きなベクトルのなかで鴨長明が感じたこと、それを継いで柴田南雄さんが作った交響曲。それらを経ていま僕がそのバトン受け継いでいるんだと思う。『大地の芸術祭』の場でこの公演を勧めてくれた北川フラムさんもそのバトンを受け渡してくれたひとりです。僕のこの交響組曲は、そういった先人からのバトンに共振した感性の旅行記のようなものだと感じています」
古より連綿と続く” 無常” というベクトルがいま、小林武史の手によって映像を含むスペクタクルなアンサンブルの<現代の交響詩>として生み出される。知と旅をめぐるこの新たなアートに刮目せよ。
日時 |
2018年7月28日(土) 2018年7月29日(日) 開場15:00/開演16:00(所要時間:約1時間半(予定)) |
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場所 |
越後妻有文化ホール・十日町市中央公民館「段十ろう」(新潟県十日町市本町一丁目上508番地2) |
料金 | <一般> 前売り ¥5,000( 税込) / 当日券 ¥6,000( 税込) ※当日券をご購入の場合でも大地の芸術祭パスポートを持参で¥5,500( 税込) <小・中・高・専・大学生> 前売り ¥4,500( 税込) / 当日券 ¥5,500(税込) ※当日券をご購入の場合でも大地の芸術祭パスポートを持参で¥5,000(税込) ※全席指定 ※入場年齢制限: 未就学児入場不可 ※枚数制限: お一人様4 枚まで ※客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがありますので予めご了承下さい |
備考 |
※当日券は前売り券の販売状況によりお席が残っていれば販売を予定しております。チケット販売のスケジュールや詳細については、随時HPにてご案内させていただきます。 |