この仕事の始まりは、互いに接する領域、つまり空間とものの浸食作用を考えることからでした。たとえば、風景が描かれた作品が16世紀以前にもありますが、しかしそれは、絵画の中心ではなく、背景であったり周縁であったりして、決して風景そのものを捉えていたわけではなかったわけです。少なくとも光景として捉えていないと言うことは、それは断片的な空間に過ぎなかったわけです。現代の美学でそのことを思索すると、かつて見ていなかったものを見てしまうと言うことになりかねないわけです。そこには風景のあり方を決定し評価してしまう危険がいつも転がっています。津南の風景と、私がどのように交歓し、光景でも背景でもない空間を、あるいは新たな光景を構築できたらと考えていました。そこに限界・境界・端の肥沃な土地を感じていただけたら幸いですが、如何でしょうか。
作品番号 | M013 |
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制作年 | 2003 |
エリア | 津南 |
集落 | 中深見 |
公開期間 | 4月下旬(雪どけ後順次公開)~10月末 終了 |