長い間人の住まない民家に計10体の走馬灯を設置。来訪者は、1体が集落の3〜4世代1家族で構成される走馬灯の前に座り、家族の肖像写真と対面する。走馬灯の回転する内側の肖像の目と、静止した外側の肖像の目は、揺らぎの中で一瞬重なり、過去、現在、未来がその瞬間、<透けて見える眼>となる。来訪者自身がこの地、および昔から現在につながる血族の絆の場である。作品の意図は、立ち現れる祖先の魂を招き出し、来訪者に明晰な存在感を知覚体験させることである。作家は制作期間中、場と人間をつなぐ介在者としてこの家に滞在しながら人々の家にまつわる思い出話を収録し、それは家の屋根裏から流された。人々が走馬灯の周りに集うことで、家と集落に新しい活気をもたらし、作品は過疎化が際立つ地域において、重みを持って感じられた。
作品番号 | T070 |
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制作年 | 2003 |
エリア | 十日町 |
集落 | 南鐙坂 |