境・環人以外の動植物は、身体を変化させる事により気候、風土に適応してきた。しかし、人は、自らの身体ではなく、身体を包む環境としての衣服を変化させることにより風土に適応してきた。衣服という独自の環境は、人特有の身体の一部となった。風土に培われた繊維技術は、その土地や人々の生命、アイデンティティと言える。風土が作り上げてきた人の環境は生態系であり、人も外部も包み込む境界のない環である。今回の作品であるアンギンは、十日町のある場所を囲むように設置され、ひとつの空間を作り出し、人を包む環境とした。アン・ギン・プロジェクト2003<アンギン>とは<編衣>もしくは<編布>と記述し、日本の風土に古来より育まれた苧麻を布にする技術であり、約6000年前から昭和初期までの暮しの用具に使用された。しかし現在では、この周辺地域に継承されるのみとなった。日本の繊維技術の復元と次世代への伝達を目的に、地元の人々とともに原材料からアンギン制作までの全工程を行なうプロジェクトである。
作品番号 | T066 |
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制作年 | 2003 |
エリア | 十日町 |
集落 | 市街地 |