十日町旧家の1室に設置されたビデオインスタレーションはこの地域を包み込んだ作品であった。古い和室の座卓に映し出される機織する女性の姿、少しずつ白い雪が画面を覆い隠していく。見ると雪は白い米粒。画面が米の雪で埋まると2本の手がそれを拭い去る。別の座卓には現在の街、森の様子が映っては消える。この地域の冬の生活を困難にする雪はまた、良質な稲作、布の雪さらしなどの文化を育んできた。変わってしまったもの、これからも変わらないであろうものに米雪が降り積もっては消えていく様子がプロジェクターで映される。中国人の作家はモチーフとして米にこだわった。地域の特産である以上に、人間の本質につながる食文化が数の論理で無にされてしまうグローバル化に対するアジアからの警告のように思えた。
作品番号 | T050 |
---|---|
制作年 | 2003 |
エリア | 十日町 |
集落 | 市街地 |