越後妻有を代表する名所のひとつ、清津峡渓谷トンネルを「大地の芸術祭 2018」でアート作品「Tunnel of Light」として改修。さらにエントランス施設を新設。全長750mのトンネルを外界から遮断された潜水艦に見立て、外を望む潜望鏡として途中の見晴らし所と、終点のパノラマステーションで作品を展開する。自然の「5大要素」(木、土、金属、火、水)を利用しながら、建築的な空間とアーティスティックな雰囲気をつくりだし、この歴史あるトンネルを変容させた。人間と自然の関係をあらためて考え、地元の人々、来訪者双方を土地の圧倒的な美しさに再びつなげることを企図している。
[ペリスコープ(潜望鏡)](木)
エントランス施設内には、1 階に受付とカフェ、2 階に足湯が誕生。湯に浸りながら上を見やれば、丸く開いた潜望鏡から自然の景色が差し込む。潜望鏡は、窓か穴か鏡か。我々に何を問うのだろう。
[色の表出](土)
異なる色の光をトンネルの展望台毎に展開。空間の活気を〝色の表出″としてとらえ、ミステリアスな音楽と組み合わせることで、微細だがダイナミックな環境をつくりだし、トンネルを歩く人たちに未知なるものへの好奇心をかきたてる。
[見えない泡](金属)
第2展望台には、異世界から降りてきたような、カプセル状の構造がトンネルのシルエットを柔らかに映し出し、周囲の風景を反射する。トイレの渓谷に向った壁は透明である。外の窓はメタル上のフィルムで覆われているので、内部からしか見えないようになっており、パブリックとプライベートの観念の遊びを試みている。そこは、静かな逃避所、孤独な場所、パブリックな場にいながら、親密な場所でもあるのだ。誰も自分たちのことを見ていないと思っている時に、人はどう反応するのか――そんなことを考えながら、沈思黙考できる理想的な一角である。
[Flow]2021年新設
2018年の大地の芸術祭で第2見晴所に設置されたトイレ「見えない泡」。そのトイレを包み込むように、外を流れる清津川の激しい流れがまるで見晴所の中に流れ込んでくるように、トンネルの壁面と床面を黒と白のストライプのパターンで覆った。空間を清津峡と一体化しダイナミックな動きを作り出すとともに、鏡面で仕上げられたトイレが斜めに伸びるストライプを反射することにより、より空間の中に溶け込み、その形状が視覚から消えていく。
[しずく] (火)
‘露のしずく’が第3展望台の湾曲した壁に散りばめられた。 “しずく”は、不確かな窓のように、反射する開口部の連なりである。 自然環境を映しこみながら、現実を投射し、また、水の分子のように超現実的に見える泡が、天井や壁から宙に落ち、時間のなかで凍結する。火のような赤いバックライトで照らされた凸面鏡を覗き込むと、 自然とのもうひとつのつながり――ミステリアスでありながら、あたたかな――を体験することができる。
[ライトケーブ(光の洞窟)](水)
終点には、清津峡の景観を反転して映す「水盤鏡」の幻想的な眺めが待っている。半鏡面仕上げのステンレススチールがトンネルをなぞり、傑出した岩の形、目に鮮やかな緑、秘蔵の大地から湧き出る青緑色の水を、閉じられた空間に引き込む。洞窟に映し出される渓谷のイメージは水の上にも投射され、自然の無限のイリュージョン(幻影)が生み出される。
【ご鑑賞時のお願い】
本作品は混雑することが多いです。特に水鏡の部分ではたくさんのお客様が撮影されますが、景色を楽しみに来られる方や車椅子の方、障がいをお持ちの方、ペット連れの方などさまざまな方がいらっしゃいます。撮影のために他のお客様をお待たせしたり、鑑賞を妨げるようなことがないようご注意いただき、皆様が気持ちよくご覧いただけますようご協力をお願いいたします。
作品番号 | N079 |
---|---|
制作年 | 2018 2021 |
時間 | [12/1-2/28]9:00-16:00(最終受付15:30) [7/13-11/30]8:30-17:00(最終受付16:30) ※繁忙期(GW、連休、お盆、紅葉シーズン)は事前予約が必要です |
料金 | 一般1000円、小中400円(団体20名様料金:一般900円、小中350円) |
休館 | ※エントランス施設は11/30まで営業(冬季休業) ※降雪状況等により臨時休業の場合あり |
エリア | 中里 |
集落 | 小出 |
マップコード | 253195487*37 |
公式サイト | https://nakasato-kiyotsu.com/tunnel/ |
公開期間 | 通年公開(冬季は積雪状況により休坑)※エントランス施設は11/30まで |
場所 | 清津峡渓谷トンネル(新潟県十日町市小出癸2119-2) |
備考 |
※繁忙期(GW、連休、お盆、紅葉シーズン)は、清津峡渓谷トンネル公式HPより事前要予約 |