集落を見下ろす崖の上にある樹上の茶室。そこに観客をひとりずつ案内し、抹茶を振舞うという作品です。観客が口をつける茶碗は、1年間集落に滞在し、家々を1軒1軒訪ねて手びねりで制作してもらったものです。茶碗の底には作り手からの「質問」が記されています。「あなたにとって子どもとは何ですか」「あなたにとって運命とは何ですか」「あなたにとって家族とはどのような存在ですか」。茶を飲み干した観客は、質問に対する答えを書き残します。答えは、会期終了後、茶碗とともに作り手に返されました。私は、1年にわたる茶碗作りの過程で多くの人と話をし、個人の生き方を反映した「質問」を一緒に作ることで、各個人が必ず持っているドラマの発掘を行ないたかったのです。そして、ここにもさまざまな歴史を持った人間が確かに生きているということを、この土地に初めて来た人々に知らせたかったのです。(公募作品)
作品番号 | T071 |
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制作年 | 2003 |
エリア | 十日町 |
集落 | 鉢 |