作品の入口に設けられた棚には白い糸の玉が積まれている。この糸玉を手にして、円形の壁によって隔てられた作品の内側へ入ってゆくと、そこには空間を圧倒するほど大きな綿糸の白い球が置かれている。直径2メートルほどもある球に来訪者が糸を巻きつけることによって、球は空間の中で大きくなっていく。壁の内側には糸玉を手にした女性たちが森の中に描かれ、綿糸が上の方から下がっている。雨のような糸の上下の動きと、人が糸を巻きつける水平の動きによって作品空間が織りなされ、人、自然、そして十日町の産業である織物との相互の関係がここで暗示されているように思われた。人が積極的に作品に関わることによって作品が成長していくように、織物の歴史も織りなされてゆくのかもしれない。(*)
作品番号 | T033 |
---|---|
制作年 | 2003 |
エリア | 十日町 |
集落 | キナーレ |