「消えて行く旅人になるために」。これが私の「劇場」に込めた最終テーマであった。私が降り立った松代、儀明集落での制作活動は多岐に渡った。歴史、風土、文化、自然考察。完成した劇場においては、ダンス、人形浄瑠璃の公園が催された。しかし、その多くの時間は人間関係の構築に費やされた。こうした場で作家に特権化された言動というものは存在しない。人間そのものの価値を認め合うためにでき得る最大限のコミュニケーションの手段を見つけ出すこと。当初の3人による共同制作から、後半はにわかに沸き立つ程の人々が「劇場」を盛り上げていった。「劇場」は多くの「主役」を産み出した。私が劇場から消えて旅人になれる日は必ずやって来るはずである。
作品番号 | D105 |
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制作年 | 2003 |
エリア | 松代 |
集落 | 儀明 |
マップコード | 298202395*00 |