仕事場から家へと向かう途中で解体中の建物を見つけてはっとした。果たしてここに何があったのかが思い出せない。しばらくたってからそこは古くから営まれた銭湯だったことがわかった。当たり前のように存在するものが失われたことで気付くこと。気付かされた出来事が記憶の中で改めて輝きを増すということ。「by the Window 十日町バージョン」はJR十日町駅の窓を50日間拝借することで実現した。当然のことながら現在その窓は本来の役割をもって存在し続けている。日常、駅を利用する人々がふとその窓を見上げ、すでに終わったプロジェクトのイメージを重ね合わせることで別の意味が投げかけられたらと願う。マッチ売りの少女が炎の中に見た幸の図のように、私の作品の宿命と価値がそこにあるものと信じている。
作品番号 | T064 |
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制作年 | 2003 |
エリア | 十日町 |
集落 | 市街地 |