阪神大震災は、「日常」が一瞬にして「非日常」に変化してしまう驚き、「日常の脆弱さ」を示唆しているのではないだろうか。損壊した民家の屋根を覆ったブルーシートは復興が進むにつれ、はがされていった。それは復興を端的にあらわしていた。そのブルーシートを使い、展示会場となった巨大な倉庫の入り口と展示室をつなぐ青の通路が作られた。展示室では「震災の惨劇シーン」と「松代町の田園風景」の映像が映し出される。震災という「非日常」的な風景映像を、松代町の「日常」的な風景映像と対照化させることで、両者を対称化させる。松代町という風土が醸し出す「日常的」な棚田や自然などの風景たち。それは阪神大震災で対面した極限の「非日常」とまるで対峙している。松代町の「日常」は、震災の「非日常」を表現する舞台でもあり、アンチテーゼでもあった。
作品番号 | D097 |
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制作年 | 2003 |
エリア | 松代 |